MDV Databaseではどんな研究ができる?編集部による論文調査結果

はじめに

メディカル・データ・ビジョン株式会社が提供している日本の診療データベース(以下、MDV DB)は、これまでに多くの臨床疫学・薬剤疫学研究に利用されてきました。
今回は、MDV DBを使用した研究の疾患領域と研究テーマを調査し、その内訳をまとめました。
本記事がMDV DB研究を検討している方にとって、疾患領域や研究テーマの先行研究調査をするときの参考になればと思っています。

調査方法

調査論文

メディカル・データ・ビジョン株式会社のEBM事業部サイト『MDV EBM情報局』に公開されている論文事例の246論文(2021.07.15現在)

  • 原著論文以外のLetterやShort report等も含めています。
  • 2021.07.15時点で248論文が公開されていますが、重複が1本、関係のない論文(RCT)が1本含まれていたので、それらは除外しました。

調査方法

アブストラクトを確認し、疾患領域と研究テーマの分類をしました。


疾患領域:ICD-10を参考にし、以下の疾患領域に分類しました。

  • 感染症
  • がん
  • 血液疾患
  • 内分泌・代謝疾患
  • 精神疾患
  • 神経疾患
  • 眼疾患
  • 耳疾患
  • 循環器疾患
  • 呼吸器疾患
  • 消化器疾患
  • 皮膚疾患
  • 筋骨格系疾患
  • 泌尿器疾患
  • 周産期
  • その他

研究テーマ

  • 医療資源分析・コスト
  • 有効性調査
  • 有害事象・副作用・合併症調査
  • 患者実態調査
  • 治療実態
  • 費用対効果
  • 服薬アドヒアランス・治療継続率
  • バリデーション
  • 臨床予測
  • リスク因子調査
  • その他

疾患領域ごとの内訳

疾患領域では、患者数の多い内分泌・代謝疾患循環器疾患がんの論文が多いことがわかりました。

  • 内分泌・代謝疾患では、抗糖尿病薬に関する論文が多く見られました。
  • 循環器疾患では、高血圧や慢性心不全といった慢性期の疾患だけでなく、急性心筋梗塞や経皮的冠動脈インターベンションなどの急性期医療、医療機器に関する論文が見られました。
  • がんについては、特定のがんに偏る傾向は見られず、多様ながんについての論文が見られました。

一方で、従来の研究では対象患者の確保が難しい希少疾患(筋萎縮性側索硬化症や多発性骨髄腫など)の論文も数本あり、リアルワールドデータの利点を活かしていることもわかりました。

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研究テーマごとの内訳

研究テーマは、治療実態有効性調査の2テーマが多く見られました。

  • 治療実態では、処方パターン調査承認時用量と実臨床用量の違い治療ガイドライン遵守率を調査した論文が多く見られました。
  • 有効性調査では、既存治療薬との比較RCTで評価された有効性(efficacy)に対するリアルワールドでの有用性(effectiveness)を評価する論文などが多く見られました。

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疾患領域と研究テーマを合わせた内訳

内分泌・代謝疾患における有効性調査」は16論文ありました。これは、抗糖尿病薬の種類が多いことや、心臓血管疾患予防効果・腎保護作用というように評価するアウトカムが複数あることに起因します。

循環器疾患における治療実態」「がんにおける治療実態」はどちらも12論文と多くみられました。特に循環器疾患は急性期から慢性期にかけて多くの治療薬や手技が実施されているため、リアルワールドデータを用いた実態調査のニーズが高いと予想されます。がんは薬剤の種類だけでなく、レジメンで捉えるとその種類が膨大であることが関係していると考えられます。

他に特徴的だったことは「感染症における医療資源分析・コスト」が10論文あったことです。これはHBV・HCVといった高額医薬品を使用する疾患が含まれていることや感染症治療で問題となるClostridioides difficile感染症が医療資源に与える影響、高齢者の市中肺炎入院によるコストなど、研究テーマが多岐に渡ることに起因しています。

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最後に

以前の記事にも書いた通り、RWDの利点は「多様な背景をもつ多数の患者集団を対象にした、現実の世界で実際に利用されている治療法を観察したデータが得られる」ことです。
今回、MDV DBを利用した論文を調査したことで、リアルワールドで実際に利用されている治療を把握するための研究が多く行われていることがわかりました。

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他の商用データベースとしてよく使われているJMDC Databaseや近年本格運用が開始されたMID-NET®の調査結果と比較することで、各DBの特徴・活用方法への理解が深まります。

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