JMDC Databaseではどんな研究ができる?編集部による論文調査結果

はじめに

株式会社JMDCが提供している日本の診療データベース(以下、JMDC DB)は、これまでに多くの臨床疫学・薬剤疫学研究に利用されてきました。
今回は、JMDC DBを使用した研究の疾患領域と研究テーマを調査し、その内訳をまとめました。
本記事が、JMDC DB研究を検討している方にとって、疾患領域や研究テーマの先行研究調査をするときの参考になればと思っています。

調査方法

調査論文

株式会社JMDCのJMDC研究・データ分析アーカイブページに公開されているパブリケーション情報一覧(ページ右側)の339論文(2021.06.24更新)

  • 原著論文以外のLetterやShort report等も含めています。
  • 2021.06.24更新情報では350論文が公開されていますが、重複やJMDC DBを使用していない論文が11本含まれていたので、それらは除外しました。

調査方法

アブストラクトを確認し、疾患領域と研究テーマの分類をしました。


疾患領域:ICD-10を参考にし、以下の疾患領域に分類しました。

  • 感染症
  • がん
  • 血液疾患
  • 内分泌・代謝疾患
  • 精神疾患
  • 神経疾患
  • 眼疾患
  • 耳疾患
  • 循環器疾患
  • 呼吸器疾患
  • 消化器疾患
  • 皮膚疾患
  • 筋骨格系疾患
  • 泌尿器疾患
    ※生殖器系疾患も含む
  • 周産期
  • その他

研究テーマ

  • 医療資源分析・コスト
  • 有効性調査
  • 有害事象・副作用・合併症調査
  • 患者実態調査
  • 治療実態
  • 費用対効果
  • 服薬アドヒアランス・治療継続率
  • バリデーション
  • 臨床予測
  • リスク因子調査
  • その他

疾患領域ごとの内訳

疾患領域では、内分泌・代謝疾患感染症疾患で区分ができないその他の論文が多いことがわかりました。

  • 内分泌・代謝疾患では、患者数の多い糖尿病に関する論文が多く見られました。
  • 感染症では、COVID-19やインフルエンザ、抗菌薬の不適切使用に関する論文など多様な疾患に関する論文が見られました。
  • その他の論文が多かった理由として、小児科領域の処方実態といった複数の疾患領域にまたがる論文や、データベース自体の特徴を記述した論文などが多かったためであると考えられます。

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研究テーマごとの内訳

研究テーマは、「治療実態」「患者実態調査」の2テーマが多く見られました。

  • 治療実態では、処方実態調査が圧倒的に多いことがわかりました。
  • 患者実態調査は、患者数患者の特徴を調査する論文が多く見られました。また、これらの論文の多くが他の研究テーマとオーバラップしていることもわかりました。(例えば、有病率調査をメインテーマとし、処方数・コスト・アドヒアランスも同時に調査するなど)

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疾患領域と研究テーマを合わせた内訳

  • 「内分泌・代謝疾患における治療実態調査」は21論文ありました。これは、糖尿病患者が多く、抗糖尿病薬の種類が多いだけでなく、DPPー4阻害薬やSGLT2阻害薬など近年数多くの薬剤が上市されたことや糖尿病ガイドラインが2019年に改訂されるなど、糖尿病診療に影響を与えることが多かったために、その実態を調査したのだと思われます。
  • 「精神疾患疾患における治療実態」は14論文と多くみられました。これらは、小児精神疾患の処方実態調査といったマイナーな領域から、適正使用が求められる睡眠薬の処方実態調査といったメジャーな領域まで様々な研究テーマが見られました。
  • 「循環器疾患におけるリスク因子調査」が11論文、「内分泌・代謝疾患におけるリスク因子調査」が12論文でした。これらは、血圧を始め、食行動や家族の死など様々な観点で心血管イベントのリスク因子を調査していることがわかりました。

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最後に

以前の記事にも書いた通り、RWDの利点は「多様な背景をもつ多数の患者集団を対象にした、現実の世界で実際に利用されている治療法を観察したデータが得られる」ことです。
今回、JMDC DBを利用した論文を調査したことで、リアルワールドで実際に利用されている治療を把握するための研究が多く行われていることがわかりました。

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他の商用データベースとしてよく使われているJMDC Databaseや近年本格運用が開始されたMID-NET®の調査結果と比較することで、各DBの特徴・活用方法への理解が深まります。

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